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便潜血陽性

便潜血検査とは

便潜血検査とは便潜血検査とは、便の中に血液が混じっていないかを確認する検査です。健康診断や大腸がん検診で広く実施されている検査で、目に見えない極微量の血液も検出することができます。
便潜血検査には「1日法」と「2日法」がありますが、一般的には2日法が採用されています。2日法の方が大腸がんの発見率が高く、1回分の便では検出できなかった出血が2回目で確認できることがあるためです。2回のうち1回でも陽性反応があった場合は、精密検査の対象となります。
ただし、進行大腸がんを持つ方が便潜血2日法を受けて陽性となる確率(感度)は約80~90%程度との報告があります。つまり、10~20%程度の方は陰性となる可能性があります。また早期大腸がんの患者様では陽性とならない場合が多いです。そのため、当院では大腸がんを心配される患者様には、便潜血検査よりも診断率の高い大腸カメラ検査を推奨しています。

便潜血が陽性になる原因

大腸がん・大腸ポリープ

腫瘍の表面は正常な粘膜と比べて脆弱で、便が通過する際の刺激で出血しやすくなっている状態です。

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炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じることで出血します。

潰瘍性大腸炎について詳しくはこちら

クローン病について詳しくはこちら

痔疾患

内痔核、外痔核、裂肛などから出血することがあります。

大腸憩室

憩室炎や憩室出血により陽性となることがあります。

感染性腸炎

細菌やウイルスによる腸炎で粘膜が傷つき出血することがあります。

便潜血検査は出血の有無を検出するのみで、出血の原因を特定することはできません。そのため、陽性の場合は必ず精密検査(大腸内視鏡検査)が必要となります。便潜血陽性だった方は、神戸三宮きのした内科 消化器内視鏡クリニックへご相談ください。

便潜血陽性の場合に考えられる病気

便潜血が陽性の場合に考えられる病気は良性のものから悪性のものまで様々です。便潜血検査のみでは原因は分からないため、便潜血検査で陽性が出たら精密検査を受ける必要があります。

大腸がん

大腸がんは、大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。便潜血陽性の方の約2〜4%で大腸がんが発見されます。がんの表面は出血しやすく、便が通過する際に擦れて血液が混じりますが、常に出血しているわけではないため、検査のタイミングによっては陰性になることもあります。

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痔は肛門の病気の総称で、主に「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」の3種類があります。

いぼ痔(痔核)

肛門周囲の血行が悪くなりうっ血することで、肛門のクッション部分が大きくなってしまう病気です。最も患者数が多く、痔の患者様の約半数を占めます。直腸と肛門の境目より内側にできる「内痔核」と、外側にできる「外痔核」があり、排便時に出血することがあります。

切れ痔(裂肛)

便秘などで硬くなった便を押し出すことにより、肛門の皮膚が切れたり裂けたりする病気です。排便時に激しい痛みと出血を伴うことが特徴で、便通トラブルの多い女性に多く見られます。

痔ろう(あな痔)

直腸と肛門の境目にある小さなくぼみ(肛門陰窩)から便が入り込み、大腸菌などの細菌が感染することで起こります。肛門周囲に膿がたまり、発熱や肛門周辺の腫れ、痛みを伴います。下痢気味の男性に多く見られます。

大腸ポリープ

大腸ポリープは、大腸の粘膜表面が隆起した病変です。便潜血陽性の方の約30〜50%で発見されます。ほとんどが無症状ですが、大きくなると出血することがあります。腺腫性ポリープは、放置すると大きくなり、将来的にがん化する可能性があるため、発見した場合は内視鏡的切除が推奨されます。

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる原因不明の病気で、国の指定難病となっています。粘膜の炎症により出血しやすく、血便、下痢、腹痛、発熱などの症状を伴います。軽症の場合は無症状のこともあり、便潜血検査で初めて発見されることもあります。

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クローン病

主に小腸や大腸に炎症や潰瘍ができる原因不明の病気で、潰瘍性大腸炎と同様に指定難病です。腸管の深い層まで炎症が及ぶのが特徴で、腹痛、下痢、血便、体重減少などの症状が現れます。

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大腸憩室出血

大腸憩室とは、腸管の内側から外側に向けて袋状に飛び出した状態です。憩室自体は無症状ですが、憩室内の血管が破れて出血することがあります。突然の大量下血が特徴的です。

虚血性腸炎

動脈硬化などにより大腸の血流が一時的に悪くなることで起こる病気です。突然の腹痛、下痢、血便が三大症状で、高齢者に多く見られます。

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便潜血陽性で大腸がんの
確率は?

便潜血検査で陽性となった場合、大腸がんが発見される確率は約3%です。これは陰性の場合と比較すると約160倍という高い確率になります。
年齢が上がるにつれて大腸がんの罹患率は増加し、特に50歳以上では注意が必要です。また、2回とも陽性の場合は、1回のみ陽性の場合よりもさらに大腸がんの可能性が高くなります。
ただし、便潜血陽性=大腸がんではありません。前述の通り、痔や大腸ポリープなど他の病気の可能性もあります。しかし、どこから出血しているかは便潜血検査だけでは分からないため、必ず大腸内視鏡検査による精密検査が必要です。

便潜血陽性が1回だけでも出たら大腸カメラ検査を

便潜血検査で1回でも陽性が出た場合は、必ず大腸カメラ検査(内視鏡検査)を受けることが重要です。「1回だけなら大丈夫」「痔があるから」と自己判断で放置することは危険です。
大腸がんやポリープは常に出血しているわけではないため、たまたま採取した便に血液が混じっていなくても病変が存在する可能性があります。1回でも陽性反応が出たということは、大腸内のどこかで出血があったというサインでもあるため、そのサインを見逃さずしっかりと検査し、治療に繋げていくことが大事です。

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