- 腹痛が続く、トイレに行っても何も出ないのにずっとお腹が痛い…
- 病院に行った方が良い?症状別でみる危険な腹痛
- 腹痛の原因はストレス?
- 腹痛は何日続くと危ないのか
- 腹痛の場所別に考えられる病気
- 腹痛がある時に行う検査
- 腹痛の治し方
腹痛が続く、トイレに行っても何も出ないのにずっとお腹が痛い…

誰もが一度は経験する腹痛ですが、その多くは一時的なもので、時間の経過や排便によって自然と治まります。しかし、中には病気が原因で起こる腹痛もあります。 特に、下痢を伴わない腹痛、波のように強弱を繰り返す腹痛、排便しても改善しない持続的な腹痛は注意が必要です。腹痛の原因は痛む場所の近くの臓器とは限らず、離れた臓器が原因のこともあるため、自己判断は避けましょう。
病院に行った方が良い?
症状別でみる危険な腹痛
腹痛の緊急度は、痛みの程度や随伴症状によって大きく異なります。以下を参考に、適切なタイミングで受診してください。
少し様子を見ても大丈夫な
腹痛
- 痛みがそれほど強くない
- 頻繁に起こらない一過性の腹痛
- すぐに痛みが落ち着いた
- 腹部膨満感のみの症状
ただし、自己判断が難しい場合や不安があれば、遠慮なく当クリニックにご相談ください。
できるだけ早めに受診すべき腹痛
- 吐血を伴う腹痛
- 激しい下痢や嘔吐を伴う腹痛
- 下血や血便を伴う腹痛
- 38度以上の高熱を伴う腹痛
- 黄疸を伴う腹痛
- 1週間以上続く腹痛
すぐに救急車を呼ぶべき腹痛
- 多量の吐血を伴う腹痛
- 多量の下血を伴う強い腹痛
- 歩けないほどの激痛、歩くと痛みが響く
- 意識を失いそうになる、または失っている
- 背中を丸めてしまうほどの激しい痛み
- 突然の激痛で冷や汗が止まらない
腹痛の原因はストレス?
ストレスや気温の変化などによる自律神経の乱れが腹痛の原因となることもあります。ストレスが増加すると交感神経が優位になり、消化器官の動きが遅くなったり、消化液の分泌が減少したりします。
ストレスが原因の場合、ストレスから解放されると腹痛が改善することもありますが、多くの場合は適切な治療が必要です。精神的なストレスで腹痛が続いている方も、臓器に何らかの異常が生じている可能性があるため、検査による原因の特定と適切な治療をおすすめします。
腹痛は何日続くと危ないのか
一般的に、軽度の腹痛であれば1〜2日程度の経過観察は可能ですが、1週間以上続く腹痛は何らかの疾患が隠れている可能性が高く、注意が必要です。
- 今まで経験したことのない強い痛み
- 持続的に痛みが続き、改善しない
- 痛みが徐々に強くなっている
- 波のある痛みが慢性的に繰り返す
慢性的に腹痛が続くということは、臓器に何らかの異常が疑われます。検査により原因を特定し、適切な治療を受けることで早期回復が期待できます。
腹痛の場所別に考えられる病気
腹痛の場所により、原因となる病気をある程度推測することができます。
上腹部の腹痛
(代表的なもの)
逆流性食道炎
食べ物や胃酸が食道に逆流し、食道粘膜に炎症を起こす病気です。空腹時や早朝、夜間にみぞおちから胸のあたりに痛みを感じます。
胃潰瘍
胃の粘膜が傷つき、潰瘍ができる病気です。みぞおちから左脇腹にかけての痛み、空腹時や食後の痛み、背中の痛みなどが特徴です。
十二指腸潰瘍
十二指腸の粘膜が消化液によって傷付く病気です。空腹時や早朝、夜間にみぞおち付近に痛みを感じることが多い傾向があります。
慢性胃炎
主にピロリ菌感染により胃に炎症が生じる病気です。胃のあたりにチクチクとした痛みが現れます。
急性・慢性膵炎
膵臓が自己消化により炎症を起こす病気です。食後に上腹部に激しい痛みを感じ、背中に痛みが広がることがあります。
胆嚢炎
胆石により胆汁の流れが悪化し、細菌感染を起こして胆嚢に炎症が起きる病気です。右上腹部や背中に激しい痛みが生じます。
下腹部の腹痛
便秘
便が腸内に長く留まり、水分が減って硬くなった状態です。下腹部全体が張って痛むことがあります。
腸閉塞(イレウス)
飲食物や消化液が小腸や大腸で詰まってしまう病気です。おへその周りから下腹部全体にかけて、軽いものから激しいものまで様々な痛みを感じます。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸に慢性的な炎症が起こる病気です。下痢、血便、下腹部痛などの症状が特徴的です。
急性虫垂炎(盲腸)
虫垂に炎症が起きる病気です。初期はみぞおちの痛みから始まり、時間とともに右下腹部に移動し、歩くと響く痛みが特徴です。
大腸憩室炎
大腸の壁の一部が袋状に飛び出した憩室に炎症が起こる病気です。腹痛、お腹の張り、便通異常などの症状が現れます。
大腸がん
初期は無症状ですが、進行すると便秘や下痢、腹痛などの症状が現れます。腫瘍により腸管が狭くなることで、腸の動きに応じて痛みが出たり止んだりを繰り返します。
鼠経ヘルニア
腸などの内臓が腹壁の弱い部分から飛び出す病気です。腸が戻らなくなると腸閉塞を引き起こし、激しい腹痛が現れます。
腹痛がある時に行う検査
胃カメラ検査
胃カメラでは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎などの診断を行います。鎮静剤を使用することで、できるだけ苦痛の少ない状態で検査を受けていただけます。
大腸カメラ検査
大腸カメラは、過敏性腸症候群、腸閉塞、炎症性腸疾患、大腸がんなどの診断に有効です。検査中にポリープが見つかった場合には、その場で日帰りで切除することも可能です。
血液検査
血液を調べることで、緊急性の判断の指標となる炎症反応の他に、貧血の有無、肝臓や腎臓の働きなどを確認することができます。当院では、血液検査のうち、炎症反応と貧血については、5分程度で結果が判明します。
腹部エコー検査

超音波を用いた検査で、肝臓・胆嚢・膵臓などの臓器を観察します。放射線被ばくがないため、体への負担が少ない検査です。
腹部レントゲン検査
腸の状態を確認し、腸閉塞などの診断に役立ちます。
CT検査

内視鏡では診断が難しい病気に対して有効です。急性膵炎、胆嚢炎、虫垂炎などの診断に用いられ、体内の詳細な情報を得ることができます。
診察の際に医師に伝えてほしいこと
正確な診断のため、いつから腹痛が始まったのか、痛む場所はどこか、痛みの種類(ズキズキ、キリキリ、鈍い痛みなど)や、痛みの強さが一定なのか波があるかなどをお伝えください。また、空腹時に痛むのか、食後に痛むのか、特定の食べ物で症状が出るのかなども診断の参考になります。
下痢、便秘、吐き気、嘔吐、発熱の有無、便の色や形の変化、血便の有無、体重減少など腹痛以外の症状があれば、それも必ずお伝えください。
腹痛の治し方
腹痛の治療は、原因となる病気により異なります。当クリニックでは詳しい検査により原因を特定し、それぞれに最適な治療を行います。
対症療法と原因治療
- 胃・十二指腸潰瘍:胃酸分泌抑制薬、ピロリ菌除菌
- 過敏性腸症候群:整腸剤、生活指導など
- 炎症性腸疾患:抗炎症薬、免疫調節薬
- 感染性胃腸炎:整腸剤、必要に応じて抗菌薬
生活習慣の改善
食生活では暴飲暴食を避け、刺激物を控えることが大切です。また、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理により自律神経のバランスを整えることも重要です。